ハイペリオンの憂鬱

競馬や映画や小説について書こうと思います

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016)

ベン・アフレックの弟・ケイシー・アフレック主演、監督と脚本はマーティン・スコセッシ監督のギャング・オブ・ニューヨークで脚本を書いたケネス・ロナーガン。制作でマット・デイモンも関わってます。

第89回アカデミー賞ケイシー・アフレック

主演男優賞を受賞、ケネス・ロナーガン脚本賞を受賞しています。

 

間違えやすいですけどこれアメリカの話です。どうやらアメリカにはマンチェスター・バイ・ザ・シーという名前の土地があるそうで。(最初ボストンから国境超えてマンチェスターまで行ってるかと思ってました。ボストンからマンチェスターまで1時間半で行けるんかってびっくりしたり)

 

この映画は基本的に過去のことを回想しながら進んでいきます。ケイシー演じるリーが過去を回想します。

現在のケイシーは暗く、真面目ですが悪態をつく。あまり人と関わろうともしません。

けれど彼にも明るい時代がありました。甥っ子のパトリックと兄と釣りに出かけたり、仲間たちと夜中まで騒いだり。

現在のリーは仕事が終わると1人でバーで飲み、家に帰ると暗い部屋でフットボールやバスケットの試合を見る毎日です。

ある時、リーの元に兄の訃報が届きます。そしてリーは兄の元へ駆けつけるためにマンチェスター・バイ・ザ・シーへ戻り、兄の遺言で自分が甥っ子のパトリックの後見人に選ばれていたことを知ります。

 

甥っ子のパトリックは16歳の少年で非常に乾いたように見えました。けれど父を冷凍しなければならないことでパニックに陥ったり、同時に二股をかけたりリーに対してわがままを言ったり悪態をついたりします。

リーは因縁のあるマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ったことでその因縁に連なる人々と出会うことで過去とぶつかることになります。

 

現在と過去を振り返りながらこうしたエピソードが繰り返され、ストーリーは進みます。少し寂しげで厳かな雰囲気の音楽が流れることでリーとマンチェスター・バイ・ザ・シーという空間の持つ関係性が少しずつ強調されていき、リーが経験したある事件の回想が始まります。

 

この映画の一番良いところは静けさにあると思います。その静けさの中で過去を乗り越えられなかったリーと、これからその過去と向き合わなければならないパトリックは対称的に描かれているように感じました。

映像の中で何度も映される真冬の海のような、そんな映画です。もちろん冬はやがて春になり、この映画も春を迎えて幕を閉じます。

宝塚記念 予想

やってきました春のグランプリ。現役最強馬キタサンブラックの春GⅠ3連勝なるか?ってとこが大きな注目ポイントですけど、あんまり競馬に詳しくない人に注目してもらいたいポイントはもう一つあって、宝塚記念も一つ前のレースはなのみちステークスのファンファーレの際に流れる曲。

これが宝塚歌劇団でよく歌われる「すみれの花の咲く頃」をアレンジしたものなんです。レースは混合のダートの短距離っていうそこまで華のあるものじゃないんですけど。

それともう一つは宝塚記念のファンファーレ。通常GⅠ競争のファンファーレは関東のファンファーレと関西のファンファーレの二つしか使われませんが、宝塚記念だけは専用のファンファーレを持っています。年一回しか聞く機会がないので興味があるなら是非。

 

さてレースの予想なんですけど10キタサンブラックの死角が見つからない。だからもう頭固定でいいでしょう。

相手は変に人気して飛びそうな8ミッキークイーンと輸送が苦手な2ゴールドアクター、あと明らかに力不足な3、4、9を切ってキタサン頭固定で流せばいいです。

仮に外したとしてもこんなもん予想できるかいって感じで別に外しても気にしなくて良いかと。

やっすい豆馬券買ってキタサンブラックの偉業を見届けるためのレースです。

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追記

ちょっと追い金。

サトノクラウンパドックで入れ込んでたので力足りないけど突っ込んで来たら面白そうなスピリッツミノルとパドックで落ち着いてたゴールドアクターを追加して何頭か切りました。

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ケン・リュウ 『母の記憶に』(ハヤカワ新SFシリーズ)

第一短編集の『紙の動物園』、長編『蒲公英王朝記』のケン・リュウの日本での第二短編集。

読んでいて思ったのは母親にまつわる物語が多いこと。おそらくそういった意図があってセレクトされた作品もいくつかあるんだろうな、と読んでいて思った。

個人的に好きなのはオルタネート・ワールド物の「烏蘇里羆」「『輸送年報』より「長距離貨物輸送飛行船」」。

ケン・リュウのオルタネート・ワールド物を読んでいると思い浮かぶのは競馬の血統でアウトブリードと呼ばれる配合のこと。

アウトブリードとは五代血統表内に同じ血を有する馬が一頭もいない馬の配合のことを指す言葉で、有名な馬だとディープインパクトスペシャルウィークがアウトブリードである。

ちなみに五代血統表に同じ血を有する馬がいることはインブリードという。要は近親交配のことで、同じ血を持つ馬同士で遺伝力を高めようとするために行われる。

アウトブリードを連想するのはケン・リュウの持つSF的な想像力とアミニズム的な世界観が上手くミックスされたビジョンから世界が広がっていくような力強い感覚を覚えるからだ。

中国とアメリカの異系交配によって生まれた怪物。ケン・リュウはおそらくそんな作家なんだろう。今表面に現れている作品群はその氷山の一角にすぎない気がする。

 

ケン・リュウのオルタネート・ワールド物の長編が出ると、それはSFの歴史を刷新するかもしれない。

エンダーのゲームやアルジャーノンに花束をも元は短編だったわけだし。

 

 

BLAME!(2017)

弐瓶勉の漫画の映像化。

原作の漫画はストーリーが難解(説明やセリフが少ないので読みづらいと言った方いいかもしれない)なため読者を選ぶ漫画のように思える。

ただ提示されるビジョンは圧巻で、BLAME!を読む感覚をある程度掴むとその世界の虜になり、それこそがこの作品の魅力であると言える。

 

今回の映画に関して言えば、世界観の説明が台詞によってされていたり、漫画版では霧亥が巨大な都市空間を彷徨うためにあえて排除されたであろうストーリーが明確にあるため、漫画を知らない人にも配慮されているように感じた。

作品のややこしさを解消するためにケイ素生命体に関して省いたり、余分な情報を削ぎ落としている。けれどそれは作品を軽くしたと言うよりは閉ざされていた世界観を開くための努力の結果だと思う。

 

1番の違いは視点が主人公の霧亥ではなく電基漁師のづるに設定されているところ。霧亥は語り手であるづるの村を訪れた来訪者にすぎない。

霧亥はづるの村に食料をもたらすが、同時に災難(試練)も連れてくる。電基漁師たちは試練を乗り越え、シボによって新天地へ導かれる。

 

トーリーはシンプルである。しかし複雑なプロットだと情報量の多い映像と、ストーリーの難解さが相まって、見る者を選ぶ非常に厄介な作品になっていただろう。

しかしそれをしなかったのは僕個人の意見だと映画版を一つの作品として成立させるためには賢明な判断だったと思う。

 

最初のづる一行が食料を探しているパートはロシアのSF作家であるストルガツキー兄弟の小説『ストーカー』を連想した。

弐瓶勉の描く世界には、おそらくそういったジャンルの先駆者たちへの憧憬やオマージュがあるのだろう。弐瓶勉が何に影響を受けたのかはよく知らないけれど、機会があればそういった作品群に触れてみたいと思う。たぶん、僕の知らない作品が多くあるだろうから。

 

この映画は正直言って、漫画版BLAME!を求める人々には物足りないかもしれない。けれど僕個人としてはこの映像化は限られた時間内でBLAME!の世界を映像として再構築した結果としては非常に満足できる内容だった。

 

唯一文句を言いたいのは音楽が火サスっぽいというか、なんか適当にやってるように思えたところ。

霧亥のテーマみたいなものを何度も流すのもわりとチープに感じた。もしかしたら、そもそも音楽にそこまで予算を使っていないのかもしれない。

メロディがはっきりした曲よりノイズ系の音楽とかだったらわりと満足できたかもしれない。

 

写真は入場者特典です。f:id:tsurayama2014:20170521215456j:image 

オークス回顧(2017)

勝ったのは1番人気ソウルスターリング

名牝スタセリタの初仔で最強馬と名高いフランケル産駒の世界的良血馬。

これでフランケル種牡馬としての評価を上げるべきかというと、ヨーロッパでのフランケル産駒の実情や、ソウルスターリング以外の日本での実績を鑑みるとフランケルが凄いというよりはスタセリタの繁殖能力が高いだけのように思える。

ただフランケル産駒はわりと日本の馬場と合っているようにも思えるのでサンデー系の肌馬との産駒が出てくるまでまだまだ未知数の部分があるはず。

 

ソウルスターリングは自厩舎仕上げの桜花賞以外では4戦4勝。今回は山元トレセン帰りで輸送なしだったため3連単の頭固定で馬券を組み立てたけれど、残念ながら相手のモーヴサファイアが飛んでしまったせいで馬券はハズレ。

モズカッチャンとアドマイヤミヤビは買えていたので馬単で抑えることはできたはずだったが、3連単だけで勝負をしてしまい、結局予想はある程度当たりながらも馬券は外すという典型的な馬券下手(9頭流しで外すっていう)が露呈してしまいました。

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